「白生地」と聞いて何を思い浮かべますか?
その名の通り白地色の布が頭に浮かんだ方、「白生地といえば着物の生地」と即答される方、そもそも「白生地ってなに?」という方もいらっしゃると思います。
白生地とは、着物用に織られた生地の中でも何色にも染まっていない白い生地のことをいいます。
西陣織や絣など、あらかじめ染められた糸を使って織られたものを先染めの生地と呼び、繭から紡いだ糸をその色のまま生地に織りあげたものは、後から染めるので後染めの生地、白生地とされています。
白生地を染め、縫製すると美しい着物に。また、絵を描き色を挿すことにより振袖などの華やかな着物になります。
時代劇や昔話などに登場する、反物と呼ばれるロール巻きにされた長い生地があります。この長さは一般的な着物生地でおおよそ3丈3尺(13m)ほど。この反物を裁断、縫製することでちょうど着物1着ができあがります。
弊社は1931年の創業より、絹の素材と図案を白生地ブランド「伊と幸」として京都室町の白生地メーカーです。
ただの白い生地というわけではなく、生地によっては織り出された模様(地紋)は
角度や光の強さなど少しの変化で見え方が変わるなど深みがある生地もあります。
着物の素材には、あらかじめ染めた糸を製織する先染めと呼ばれる生地と、生地を製織した後に染める後染めと呼ばれる生地があります。両者中で、白生地は後染めに分類され、友禅染めなど染め着物の土台として大切な存在です。
【着物で終わらない白生地の世界】
白生地の活躍の舞台は着物にとどまらず、私たちの身近なものに活用されつつあります。後染めができると生地を好きな場所でグラデーションにできるというメリットがあり、着物のデザインだけでなく、絹ガラスのインテリアにも幅広く活躍しています。
こちらの日傘は、笠の布部分に白生地を使っています。
絞り染めの技法で染められたグラデーションと
モダンな生地の地紋様が合わさり上品な日傘になりました。
白生地を後染めするとでお互いの良さを引き出すものづくり。
これれからも伊と幸は白生地と共に歩んでいきます。
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